量が質を凌駕する
アート業界は、言ってみれば「少量生産の高級菓子」みたいなものである。
こだわりが強くて、ひとつひとつが特別。しかし、その「少量生産」が今や足かせになっている。
タグボートは、その足かせをぶっ壊すために、圧倒的な物量で情報を発信しようとしている。
普通のギャラリーの平均の数十倍というから、まるで小さな和菓子屋が突然、大手製菓メーカー並みに商品をプロモーションするような話だ。
これまでの「ギャラリーに来てのお楽しみ」というやり方は、もはや時代遅れである。
今は、ネットであらかじめ情報をたっぷり集めてから展覧会に行くかどうかを決める時代だ。
にもかかわらず、国内のギャラリーは相変わらず、情報をチビチビとしか出さない。まるで、ケチな居酒屋が客にちびちびと酒を注ぐように。
コロナ禍では、旅行や飲食、株式、不動産への投資をためらった富裕層が一時的に現代アートへ流れ込んだ。
しかし、その時に情報提供の充実を図らなかったギャラリーは、結局、流れが引いた後で手をこまねいている。
情報が不足していれば、どれだけ魅力的な作品も日の目を見ない。
アート市場は、情報の絶対量がそのまま売り上げに直結する、ある意味「情報戦」の場である。だからこそ、タグボートは情報の絶対量で勝負に出るのだ。
情報はアート界のAmazonレビューである
ウェブサイトで何かを買うとき、重要なのは情報収集の質と量だ。
例えば、Amazonには膨大な口コミがある。もちろん、中には怪しい口コミも混じっているが、全体の情報量が多ければ自然と怪しい情報は淘汰されていく。
アートの場合も同じだ。購入単価が高い分、購入品数は少ない。だから「口コミ」という形で盛り上げるのは難しいが、その代わり、作品についての詳細な説明やインタビュー、動画など、腹落ちするまで理解させる情報が必要になる。
人はよく知らないものには財布のひもを緩めない。特にアートのように決して安くないものに対してはなおさらだ。
要するに、アートは「パッと見のインパクト」だけでは売れない。
むしろ、「ああ、この作家はこういう背景で、こんな思いで作っているのか」と腹落ちさせる説明が決定打になる。
タグボートは、この「腹落ち」を促すために情報発信の絶対量を増やしている。
これは、映画の予告編をたっぷり見せて「これ、絶対面白そう!」と思わせるようなものだ。
数で殴るしかない
タグボートには150名以上の取り扱いアーティストがいる。
しかし、いくら数が多くても、それぞれの作家についての情報が薄ければ、結局は他のギャラリーに負けてしまう。
だからこそ、全ての作家について分かりやすく、膨大な情報を発信し続ける必要がある。
ここで手を抜けば、作家は「このギャラリーじゃ売れないな」と見限ってしまう。
ギャラリー側が手を抜けば、作家も手を抜く。これはまるで、強豪校の監督がやる気なさそうに指示を出していたら、選手たちも気合が入らないのと同じだ。
今やるべきは、作品についてのかみ砕いた説明、インタビュー記事、そして動画をとにかく大量に作って、それを見てもらうことだ。
質の高い情報は、まず絶対量があってこそ生まれる。
これは、粘土細工のようなもので、まずは大量の粘土がないと、いい作品は作れない。量をこなすことで、自然と質が向上していくのである。
情報の洪水で市場を飲み込め
タグボートは、「情報の洪水」を作り出すことで、国内アート市場に革命を起こそうとしている。
情報の絶対量が、そのままアートの価値を引き上げる。
この戦略は、まるで大量の水で堰を決壊させるようなものだ。少しずつ水を注ぐのではなく、一気に流し込む。そうすることで、情報が市場全体に浸透し、アートの価値が正当に評価されるようになる。
「情報の絶対量で負けたくない」。
その信念を胸に、タグボートは今日もコンテンツを作り続けている。
情報は武器である。そして、その武器を磨き続ける限り、業界で生き残っていけると信じている。
2025年3月14日(金) ~ 4月5日(土)
営業時間:11:00-19:00 休廊:日月祝
※初日3月14日(金)は17:00オープンとなります。
※オープニングレセプション:3月14日(金)18:00-20:00
※3月20日(木)は祝日のため休廊となります。
会場:tagboat 〒103-0006 東京都中央区日本橋富沢町7-1 ザ・パークレックス人形町 1F